INTERVIEW

Dissolution : Abnormes Odysse inn Fantasy

マスダタイシ

INTERVIEW

マスダタイシ「Dissolution : Abnormes Odysse inn Fantasy」

商業的な音楽をやる必要がない。聴きたい音楽を自由にやっている。

前作「幸福な老人と魚」が完成して、そこから長期のツアー(「TOUR15 幸福な老人と魚」)を経て「Abnormes Odysse inn Fantasy」の製作が始まった。当初の心境は。
特にツアー(「TOUR15 幸福な老人と魚」)は長かったので、早く曲作りしたい気持ちというか、もうツアー後半部分から「Abnormes Odysse inn Fantasy」のギターフレーズを考え出したりしてましたね。スタジオでのセッションと曲作りやレコーディングではまた感覚が全然違ってたりするので、その辺は自然と切り替えができていましたね。
「Abnormes Odysse inn Fantasy」は今まで以上に掴み所がないと言うか、色が多いというか、収録曲も多い。
そうですね。「幸福な老人と魚」からの流れでだいぶハードルが上がっていたので、新しいアルバムを作り始めた時から簡単にできるとは全然思ってなかったです。丁寧に作っていったというのもありますが、特にブランクやアルバム作りの中断などがあったわけではないのに順当に作っていって気づいたら2年半も経っていましたね。完成してまとめて聴くとやっぱり前作とは差別化ができていて、前作「幸福な老人と魚」の曲は一曲も「Abnormes Odysse inn Fantasy」に入れられないなと思いました。それくらい色の強いアルバムというか個性的な曲が集まったなと思います。
完成させるのに苦労した楽曲は。
今回のアルバムの曲作りに関しては、ほとんど詰まることもなかったですね。いつもは必ずスランプに陥るんですが。ただ今回曲編成にはだいぶ時間をかけてて、「BLUE」と「Abnormes Odysse inn Fantasy」はデモ録りだけで5回ぐらいしてるので大変でした。
「BLUE」は尺も最長で、アレンジ編成も複雑ですよね。間奏のギター演奏もエモーショナルできれいなメロディと、逆に退廃的でメロディの掴めないパートが交差していたり。こういう部分は「幸福な老人と魚」から引き継がれた一つの延長線のように感じました。
そうですね。「BLUE」は純粋なバラードの雰囲気にはしたくなくて、色々考えました。たしかに「幸福な老人と魚」からそういう複雑な編成が主流になりつつあります。色々アイディアを持ち寄って作っていったら最終的に尺もだんだん伸びて。
マスダさんは前々から30分くらいの長い楽曲を作ってみたいと言ってましたが、「BLUE」はやりたいことを詰め込めた?
いや、「BLUE」に関しては、意図せず作っていったら自然とあの長さになってましたね。30分ぐらいの曲も、作ってみたいとは思っていたんですが、はじめから長尺な曲を作ると決めて作り始めると、無駄な引き延ばしだったりダラダラした印象が出てしまうと思うので、その辺「BLUE」は意識せずにあの長さになったので良かったです。
今作は今まで以上にトリッキーなものが多彩で目立ってますよね。王道を外すと言うか、良い曲でしょ?って言われたくない感じ。
自分たちはプロで音楽やっているわけではないので、商業的な音楽は一切やる必要がなくて。自分たちのかっこいいと思うことや、聴きたい音楽を自由にやっているという感じなので。一般ウケしないような奇抜でトリッキーなことも進んで取り入れてやってます。
「Q」や「アンダルシアと地球、その向こうは宇宙」のような楽曲と並んで、「デイビスの鐘が鳴る」や「シャロは死んだように」みたいな掴みやすい曲も並列されている。このバランスがアルバム全体をトリッキーにしちゃってますよね。
そうですね。アルバム制作中盤ぐらいまで全くアルバムの雰囲気が見えなくて、ここまで完成形が見えない状態での制作も珍しいというか。「Q」や「アンダルシアと地球、その向こうは宇宙」のような曲と、「デイビスの鐘が鳴る」や「シャロは死んだように」が一緒のアルバムに入れる事自体、自分の想像の範囲を超えていたんで。そういう意味では非常におもしろいアルバムです。
アルバムも完成して、今後の展望は。
今後はアルバムの曲をどうスタジオで再現するか考えてギターの音作りなどしていきたいですね。